本日2018年12月25日付けで、厚生労働省公式サイトに「国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」が公表されました。
厚生労働省 2018年12月25日付
平成30年 国の機関等における障害者雇用状況の集計結果
2018年(平成30年)6月1日現在の状況となります。
この件に関して、昨年=2017年6月1日時点の調査にて中央省庁で約3,700人、地方自治体で約3,800人、合計で約7,500人にも上る不正計上が発覚したという不祥事は記憶に新しいところです。
本日の集計結果に関しましては、厚労省の公式サイト上には極めて淡々と掲載されていますが、
なお、民間企業における障害者の雇用状況については、データ入力のための作業ツールの不具合により、平成31年3月末までに公表する予定です。
という記載があり、またなにか…という不安を感じさせられるものとなっていることを併せてご報告しておきます。
障害者雇用状況の集計結果
本来であれば
「障害者雇用状況の集計結果」
として発表されるべきものが、上記の理由によって民間企業分が公表できなかったため、頭に「国の機関等における」をつけて本日発表されたものと思われます。
集計結果の主なポイントをまとめますと以下の表になります。
事業主区分 | 雇用障害者数 (前年値) |
障害者雇用率 | 実雇用率 (前年値) |
国 | 3,902.5人 (3,711.0人) |
2.5% | 1.22% (1.17%) |
都道府県 | 8,244.5人 (7,951.5人) |
2.5% | 2.44% (2.36%) |
市町村 | 25,241.5人 (25,859.0人) |
2.5% | 2.38% (2.29%) |
教育委員会 | 12,670.0人 (12,337.5人) |
2.4% | 1.90% (1.85%) |
独立行政法人等 | 11,010.0人 (10,225.0人) |
2.5% | 2.54% (2.38%) |
※週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者は「短時間労働者」として0.5人と計算する(ハーフカウント)ために端数が出ます。
数値的に達成できているのは独立行政法人等のみ。本年4月1日から法定障害者雇用率が上がったとはいえ、国の実雇用率は目標の半分未満。単純計算として、現在の倍以上の人数に増やさねばならないということになります。
障害者雇用とは
障がい者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる「共生社会」実現の理念の下、全ての事業主には法定雇用率以上の割合で障がい者を雇用する義務があります(障害者雇用率制度)。
この法定雇用率は事業主の区分ごとに分かれて定められていますが、本年2018年4月1日から各0.2%ずつ引き上げられて下表の数値となっています。
事業主区分 | 法定雇用率 | |
平成30年3月31日まで | 平成30年4月1日以降 | |
民間企業 | 2.0% ⇒ | 2.2% |
国、地方公共団体等 | 2.3% ⇒ | 2.5% |
都道府県等の教育委員会 | 2.2% ⇒ | 2.4% |
この数値目標を達成した場合、もしくは未達成した場合はどうなるのか。
それに関しては、障害者雇用納付金制度というもので対応しています。
障害者雇用納付金制度とは
障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を図るとともに、全体としての障害者の雇用水準を引き上げることを目的に、雇用率未達成企業(常用労働者100人超)から納付金を徴収し、雇用率達成企業に対して調整金、報奨金を支給するとともに、障害者の雇用の促進等を図るための各種の助成金を支給している。
(障害者雇用制度の概要より)
具体的には
障害者雇用率を達成できなかった常用労働者100人超の企業から、不足1人あたり月額5万円を徴収※
※常用労働者100人以下の中小企業からは徴収していません
障害者雇用率を達成した事業主には、超過1人あたり月額2万7千円を支給
障害者多数雇用※の中小企業事業主には、超過1人あたり月額2万1千円を支給
※常用労働者100人以下で、障害者を4%または6人のいずれか多い数を超えて雇用する事業主のこと
となっています。
その他に障害者を雇い入れる事業主に対して、作業施設の設置や整備を行なった事業主に対しては助成金が支給されるなど他に細則がありますので、詳しくはパンフレットをご確認ください。
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
ホーム>障害者の雇用支援>助成金等
しかし、昨年分は国や自治体が障害者数を不正計上し、正しく集計されたと思われる本年度は未達成に終わるとなると、「障害者雇用率が未達成だから納付金を徴収」とか言われても事業主側の抵抗感は半端ないだろうと感じます。
現場の声を聞いてみたい気がします。