アンケートへの協力依頼がキャリアコンサルティング協議会(以下:協議会と略記)の公式サイトに掲載されています。
2018.12.26 お知らせ
【現場で活動するキャリアコンサルタントに必要な知識に関する実態調査】ご協力依頼(実施者:キャリアコンサルティング協議会)
同日、協議会から送られてきたメルマガで知った方も多いかと思います。
現場で活動するキャリアコンサルタントに必要な知識に関する実態調査とは
そのアンケートは、現場で活動するキャリアコンサルタントにはどのような知識が必要で、実際にそれらをどの程度活用しているか、また活動を通じて学習が不足していると感じる知識にはどのようのものがあるかを調査する目的で、協議会が実施するものです。
やってみるとお判りいただけますが、案外ヘビーな内容で、パッパッと適当にチェックするだけでも10分以上、自由記述の欄も考え考え書き込めば軽く30分はかかる代物でした。
設問の内容
設問は以下の12項目になります
1.キャリアに関する理論
2.カウンセリングに関する理論
3.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
4.企業におけるキャリア形成支援の知識
5.労働市場の知識
6.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
7.学校教育制度及びキャリア教育の知識
8.メンタルヘルスの知識
9.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
10.人生の転機の知識
11.個人の多様な特性の知識
12.自己理解の支援(自己理解への支援、アセスメント・スキル、仕事の理解の支援)に関する知識
これら12項目のひとつひとつに対して具体的な理論名や知識名が上げられ、この理論はどうですか、この知識はどうですか…とひたすら質問が続きます。
見方を変えてみると、これらの項目や細目は現場で活動するキャリアコンサルタントが利用している、もしくは知っている理論や知識として現時点で協議会が認識する理論や知識ということですから、例えば同会でキャリアコンサルタントやキャリアコンサルティング技能士の試験を受けることが予定されている人にとって、何かのヒントになり得るのではないでしょうか。
試験対策としての見方はさておき、このアンケートで気になる点がひとつ。
基本的には理論や知識に対して「現場でどの程度活用しているか」とまず聞き、その後に同じ理論や知識に対して「どの程度学習が不足しているか」と尋ねることを繰り返しています。
しかしその原則にそぐわない設問が2つありました。
キャリアに関する理論
ひとつは「キャリアに関する理論」です。
「キャリアコンサルティングを実践する上で現場で活用しているかどうか」を尋ねられているのは以下の4理論でした。
来談者中心療法(ロジャーズ)
認知行動療法
マイクロカウンセリング(アイビィ)
ゲシュタルト療法(パールズ)
アンケートの流れとは異なり、上記4理論に対する学習の過不足は聞かず、別の理論・知識を上げて学習の過不足を尋ねます。それは以下の4項目。
グループアプローチ(エンカウンター、グループカウンセリング、ガイダンス等)
交流分析(バーン)
現実療法(グラッサー)
ナラティブアプローチ
確かに最初に上げられた来談者中心療法・認知行動療法・マイクロカウンセリング・ゲシュタルト療法の4理論は、キャリア理論の代表中の代表のような存在です。
この設問の流れを見る限り、現場で使うか否かに関わらず、これらの4理論は熟知していて当然と考えていることが感じられます。
そして知識の過不足を尋ねた4理論:グループアプローチ・交流分析・現実療法・ナラティブアプローチに関しては、押さえておくべき、押さえておいて損はなしと考えているのではないのか、と。
次に押さえるならこの4理論を…というのは少々うがった見方すぎるでしょうか。
そしてこの設問と同様の出題をしている設問が、もうひとつだけありました。
それは自己理解の支援に関する項目です。
自己理解の支援
自己理解への支援やアセスメント・スキル、仕事の理解の支援に関する知識として、まず現場で活用しているか否かを尋ねるのは以下の5つ。
パーソナリティ理論
興味・適性に関する理論やアセスメントツールの使い方
職業分類やその具体的な内容
職務経歴の振り返りの方法
家族などクライエントを取り巻く環境の理解のための知識
それに対して、学習の過不足を問うのは以下の5つ。
自己理解に必要なツールを用いた支援方法
仕事理解に必要な情報収集の方法
各種アセスメントツールの種類とその使い方
アセスメント結果の解釈と支援への生かし方
アセスメントツールの職業以外の活動の支援への生かし方
もはやアセスメントツールに関することばかり、と言い切っても過言ではない感じです。
キャリアコンサルタント試験の勉強を通じてアセスメントツールのことを一通りは学びますが、実際に手にすることや使用することは、現場を持つキャリアコンサルタントであってもあまり多くはないのではないでしょうか。
アセスメントツールには一長一短あり、どれかひとつで完全なアセスメントが出来るものは存在しないと思われますが、アセスメントツールを使うことなく=客観的指標を用いることなくキャリアコンサルティングを進めることに関して、なんらかの示唆をしているような気がしてなりません。
知識不足や経験不足はもとより、アセスメントツールの多くは有料であり、気軽に手を出すことが出来ないと感じているキャリアコンサルタントも多いと思われます。
更新講習などでこのあたりのことを重点的に学べるものがあれば、とか、協議会もしくは来年発足するACCNでアセスメントツールの斡旋を、などという話にもなってきそうな予感がしますがいかがですか。
まとめ
このアンケートの対象者は、キャリアコンサルタントの関連資格者※を保有して、現場を持って活動している人となっています。
※キャリアコンサルタント登録をしていない技能士や旧標準レベル資格者も含む。
対象者ではないとしても、アンケート自体を見ることは出来る仕組みになっていますので、キャリアコンサルタント資格やキャリアコンサルティングに興味のある方であれば、ふむふむなるほどとひと通り目を通されることをお薦めする次第です。
そして対象者の方は是非アンケートにお答えいただき、キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティングの未来のために、そしてなにより自分自身の将来のために一石を投じていただきたいと思います。
締め切りは2019年(平成31年)1月11日(金)まで。
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